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院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)

概要

JANIS(Japan Nosocomial Infection Surveillance)は国内の医療機関における院内感染症の発生状況、薬剤耐性菌の分離状況及び薬剤耐性菌による感染症の発生状況を調査し、日本の院内感染の概況を把握し医療現場への院内感染対策に有用な情報の還元等を行うことを目的として実施されている。全参加医療機関の情報を集計した結果については、国立感染症研究所のウェブサイト上(https://janis.mhlw.go.jp)で公開されている。参加医療機関ごとの情報については解析した上で個別に報告書を返却し、それぞれの医療機関での感染対策の策定やその評価に活用に役立てられている。JANIS は任意参加型の動向調査であり、現在、およそ 2,000 の医療機関が参加している。
JANIS 検査部門では、国内の病院で分離された細菌の検査データを収集し臨床的に重要な菌種について主要薬剤の耐性の割合を集計し公開している。2018 年は検査部門には 1,988 病院が参加している。20 床以上の入院施設を持つ病院のデータを集計しており、診療所や高齢者施設は含まれていない。2014 年からは病院の 規模を 200 床以上、200 床未満に分けた集計も行なっている。集計は参加病院の入院検体から分離された細菌のデータを対象にしており、外来検体データは含まれていない。国による動向調査としてより代表性がある情報を提供するために、集計対象とするデータの選定や集計手法について今後さらに検討が必要である。薬剤感受性試験の判定は原則 CLSI に基づいている。
現在、薬剤感受性試験の精度管理については各病院に委ねられている。病院検査室での薬剤感受性試験精度の向上のため、臨床微生物学会が中心となり精度管理プログラムが開発され、2016 年度より試行されている。
JANIS は、統計法に基づく調査であり、感染症法に基づく感染症発生動向調査とは別の調査である。参加は任意ではあるが、2014 年から JANIS 等への参加が診療報酬による感染防止対策加算1の要件となっている。JANIS は厚生労働省の事業であり、運営方針は感染症、薬剤耐性などの専門家から構成される運営会議で決定される。データ解析などの実務は国立感染症研究所薬剤耐性研究センター第 2 室が事務局として担当している。
なお、WHO が 2015 年に立ち上げた薬剤耐性に関する国際的な調査 GLASS では、ヒト分野のデータについて各国からの提出が求められており[文献 1 ]、日本からは JANIS などの調査結果を基に必要なデータを提出している(既に 2014 年から 2017 年分のデータを提出済み)。GLASS は各国での調査対象の医療機関に薬剤感受性試験で検査する薬剤のセットを同じにすることを求めている。ここで JANIS は任意参加型の調査であり、参加医療機関それぞれで通常の検査業務で得られるデータを提供してもらう形でデータを収集しているため、検査する薬剤の種類を統一するのは困難である。サーベイランスの国際協調の観点から、JANIS では集計手法について検討が進められている。GLASS では、今後、調査対象を家畜など他分野にも拡大することが検討されており[文献 1 ]、本報告書に記載された調査結果からも情報が提供されることが期待される。

届出方法

JANIS は、(1)検査部門サーベイランス(2)全入院患者部門サーベイランス(3)手術部位感染部門 サーベイランス(4)治療室部門サーベイランス(5)新生児集中治療室部門サーベイランスの5部門から構成されている。医療機関は、それぞれの目的や状況に応じて参加する部門を選択する。5部門のうち、検査部門が薬剤耐性に関するサーベイランスである。検査部門では各医療機関の検査室に設置されている細菌検査装置、システム等から分離菌に関する全データを取り出し、JANIS フォーマットに変換したものをウェブ送信により提出する。提出されたデータを集計して、臨床的に重要な主要な菌種について各種薬剤に対する耐性の割合を算出し、日本の National data として結果を公開している。

今後の展望

JANIS 参加医療機関は 200 床以上の比較的大規模の病院が多く、また検査部門のデータは入院検体のみであり、外来検体は含まれていない。また診療所などのデータは収集されていない。このようなデータの偏りの解消は今後の JANIS における課題である。