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中浜らの研究では、かぜ症候群を対象に臨床医の意識調査が行われている[文献 4 ]。調査は 2017 年 1 月から 2 月にかけて、知人医師、プライマリ・ケアのメーリングリストなどを通じて送付され、協力医師からの二次、三次拡散で回答が集められた。回答者数は 612 名で、開業医が 40%、勤務医が 60%であった。診療科は内科が 69%と最多で、次いで小児科が 16%であった。
かぜ症候群に対して抗菌薬投与する割合では、「0 から 10%未満」が全体で約 6 割と最も多く、抗菌薬を投与する理由は、「ウイルス性か細菌性かの鑑別に苦慮する」が 3 割以上と最多で、「患者の希望」が 2 割程度であった。患者側が抗菌薬を希望した場合の対応については、「説明しても納得しないときには抗菌薬を処方する」医師が半数以上であった。

具らは、厚生労働科学研究費補助金を用いて、外来診療における医師の意識調査を 2017 年 10 月から 12 月にかけて行っている[文献 5 ]。全国各地の 10 医師会を通じて各医師会の会員 2,416 名に調査票を配布し、有効回答数は 524 名(回答率 21.7%)であった。回答者が主に診療にあたる医療機関は診療所が 90.6%、病院が 8.0%などとなっていた。診療科は内科が 63.2%と最多で、次いで小児科 10.1%、耳鼻科 5.3%の順であった。
感冒と診断した場合に抗菌薬を処方する割合では、「0 から 20%」が約 6 割と最も多く、最も多く処方した抗菌薬はマクロライド系 33.4%、第 3 世代セファロスポリン系 32.2%、ペニシリン系 20.0%、ニューキノロン系 9.8%の順であった。抗菌薬を投与する理由は、「感染症状の重症化の防止」が 3 割以上と最多で、「患者の希望」は 7.8%であった。ほぼ全ての回答者が、程度はさまざま(常に、かなり、多少は)であるものの過去 1 年間に抗菌薬適正使用を意識しており、個々の臨床医の抗菌薬適正使用が薬剤耐性菌抑制に対して「効果は大いにある」と考える回答者が約 6 割を占めた。

日本化学療法学会・日本感染症学会合同外来抗菌薬適正使用調査委員会は、診療所に勤務する医師を対象とした意識調査を 2018 年 2 月に行った[文献 6 ]。無作為抽出した全国の 1,500 診療所に調査票を配布し、有効回答数は 269 名(回答率 17.9%)であった。診療科は内科 50.6%、小児科 11.2%などとなっていた。
感冒と診断した患者や家族が抗菌薬処方を希望する割合は約半数(49.8%)が「0 から 20%」と回答しているものの、「21~40%」「41~60%」との回答がそれぞれ 18.6%、19.0%あり、それ以上との回答もあった。抗菌薬処方の希望に対し「説明した上で処方しない」との回答は 32.9%、「希望通り処方する」「説明しても納得しなければ処方する」との回答はそれぞれ 12.7%、50.4%であった。患者・家族による抗菌薬の希望が少なくなく、不必要と説明している回答者は 80%以上に及ぶものの、最終的にはしばしば処方に至っている様子が伺われた。
抗菌薬の処方機会は以前と比べて「減った」38.1%、「変わらない」61.9%であり、増えたとの回答はなかった。回答者の半数以上が 2020 年までに経口抗菌薬の使用量を減らすことが可能と回答した。抗菌薬使用量を減らす方針が診療所医師に共有されていることが示唆される。アクションプランを達成するために必要なこととして、過半数の回答者が市民向けの広報や患者向け說明資料を挙げていた。