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大曲らは、厚生労働科学研究費補助金を用いて、国民の薬剤耐性に関する意識についての調査を 2017 年 3 月と 2018 年 2 月に行っている[文献 1,2 ]。いずれもインテージリサーチ社に登録されているモニター(医療従事者は除く)を対象にインターネットを通じたアンケート調査が行われた。2017 年は 3,390 人、2018 年は 3,192 人 が回答した。回答者の性別は女性 48.8%(2017 年)、49.7%(2018 年)であり、平均年齢は 45.5 歳(2017 年)、45.9 歳(2018 年)であった。回答者全体の半数程度が、風邪を理由として抗生物質を内服していた。同様に約 4 割の回答者が、風邪やインフルエンザに対して抗生物質が有効であると考えていた。また、抗生物質の内服を自己判断で中止した回答者が全体の約2割、その抗生物質を自宅に保管していると答えた回答者が約1割存在した。また、抗生物質を自宅に保管している回答者の中で、約 8 割の者が自己判断で使用したことがあると答えていた。2017 年と 2018 年の調査では回答の傾向はほぼ同様であり、国民の意識を変えていくためには様々な手法を用いた啓発活動を継続的に行っていく必要がある。

中浜らは、2018 年 11 月から 12 月にかけ、大阪府、岡山県、新潟県の 17 医療機関(病院 2、診療所 15)において受診患者やその家族 1,200 名に質問票を配布して意識調査を行った[文献 3 ]。医療機関の標榜科内訳は内科 7、小児科 5、耳鼻科 4、泌尿器科 1、回答者の年齢構成は 30 歳代と 40 歳代が過半数(計 55.7%)を占めていた。
ほとんどの回答者が過去に抗菌薬の処方を受けており、うち 83.7%が風邪に抗菌薬を処方されたことがあると回答していた。風邪に抗菌薬が効くと回答したのは 81.8%に達し、風邪症状の緩和や細菌性気管支炎・肺炎の予防に効果があるとの回答が多かった。抗菌薬が効くと過去の経験から考える人が最も多かった(45.6%)ものの、医師から聞いたとの回答も 28.4%あった。
風邪で受診した際に抗菌薬処方を希望したことがあるのは 25.9%で、うち 86.1%が今後も希望すると回答した。風邪に抗菌薬が効かないと医師に説明されたら「納得する」72.6%、「納得できないがあきらめる」19.3%であり、他の医師を受診すると回答したのは 8.1%に留まっていた。受診患者・家族を一般診療科と小児科に分けて集計したが、いずれの回答ともほぼ同様の傾向であった。
この調査の結果から、医療機関受診患者の多くは抗菌薬を処方された経験があり、風邪に抗菌薬が効くとの誤解が多かった。抗菌薬処方を希望した患者の多くが今後も処方を希望していたものの、医師の説明には納得するとの回答が多く、医師と患者のコミュニケーションの重要性が示唆された。