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院内・市中・家畜のみならず、土壌・河川等の環境においても薬剤耐性因子が検出される事例が、世界各国でいくつか報告されている [14] [15] [16] [17]。例えば、世界的なジェネリック薬の製造工場があるインド・ハイデラバード近郊では環境への抗菌薬汚染が顕著であり、漏洩した抗菌薬によって選択された薬剤耐性菌の出現と環境汚染が懸念されることが報告されている [18]。環境汚染の原因の多くが工場及び生活排水からの下水に起因するとの考えに基づいた WHO の支援による世界的なプロジェクトとして、下水における薬剤耐性菌調査 Global Sewage Surveillance Project [19]が 90 カ国の参加の下で実施されている。2018 年1月には各国から収集された下水流入水中の薬剤耐性菌及びその遺伝子を比較した結果が報告されるものと思われる。 本プロジェクトと並行して、日本での実態を詳細に評価するために、次世代シークエンサーによる網羅的配列解読法(メタゲノム解析)を用いて、河川等の環境水から薬剤耐性遺伝子等の網羅的検出を行う予備実験が研究として開始されている。2017 年度には地方衛生研究所等の自治体が継続的に検査を実施できるよう、標準的な検査手法の策定を中心に検討が進められている。 これまで、院内感染事例では、実地疫学と分離菌の分子疫学解析の結果に基づいて、感染伝播や健康影響のリスク評価を行う取組が行われてきているが、概して環境由来の薬剤耐性菌がヒト等の健康に影響を与えていることを示す研究結果は乏しく、環境における薬剤耐性の状況が健康リスクを生じうるのかについての定まった見解はない。このような環境由来耐性菌のヒトの健康に及ぼすリスクを評価するために、Joint Programming Initiative on Antimicrobial Resistance(JPIAMR)のワークショップ [20]が 2017 年 9 月に開催されるなど、実態調査からリスク評価へと繋げる世界的な取組が、今後、更に加速するものと予想される。

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