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2013 年から 2018 年までの日本における販売量に基づいた抗菌薬の使用状況を表 69、70 に示す。日本における 2018 年の抗菌薬全体の使用量は 13.3 DID(DDDs/1,000 inhabitants/day)であり、2017 年の代表的な欧州諸国の DID と比較すると、フランス(29.2 DID)、イタリア(23.4 DID)、英国(19.1 DID)よりも低く、スウェーデン(11.6)、オランダ(10.1)よりも高く、ドイツ(13.7 DID)と同程度であった。経年的な変化をみると、2013 年から 2016 年までは抗菌薬使用量に大きな変化を認めなかったが、2017 年以降は低下しており、2018 年は 2013 年と比較して 10.6%減少していた。
2018 年における抗菌薬全体に占める経口薬の使用量(表 69)は 12.3 DID(92.0%)であり、そのうち、本邦の AMR 対策アクションプランで 50%削減目標となっている経口セファロスポリン系薬(3.2 DID)、経口フルオロキノロン系薬(2.3 DID)、経口マクロライド系薬(4.0 DID)の合計は経口抗菌薬全体の 77.5%を占めていた(経口セファロスポリン系薬は第 1 世代(0.1 DID)、第 2 世代(0.3 DID)、第 3 世代(2.8 DID)を合計したもの)。この傾向は 2013 年以降変化していないが、各使用量を 2013 年と比べると、2018 年の経口セファロスポリン系薬、経口フルオロキノロン系薬、経口マクロライド系薬それぞれ 18.4%、17.0%、18.0%減少していた。一方、注射用抗菌薬は 2013 年 と比較して 2018 年は 10.0%増加していた(表 70)。
WHO が抗菌薬適正使用の指標として推奨している AWaRe 分類により抗菌薬を分類した表を表 71 に示す。AWaRe 分類は WHO の必須医薬品リスト(Model Lists of Essential Medicines)第 20 版に掲載された抗菌薬分類を適正使用の指標として応用したもので、抗菌薬を”Access”(一般的な感染症の第一選択薬、または第二選択薬として用いられる耐性化の懸念の少ない抗菌薬で、すべての国が高品質かつ手頃な価格で、広く利用出来るようにすべき抗菌薬。例. アンピシリン、セファレキシンなど)、”Watch”(耐性化が懸念されるため、限られた疾患や適応にのみ使用すべき抗菌薬。例. バンコマイシン、メロペネム、レボフロキサシン、セフトリアキソンなど)、”Reserve”(他の手段が使用できなくなった時に最後の手段として使用すべき抗菌薬。例. チゲサイクリン、コリスチン、ダプトマイシンなど)、未分類の4カテゴリーに分類している。WHO は全抗菌薬に占める”Access”の抗菌薬の割合を 60%以上にすることを目標としている。日本は他国と比較して Access の占める割合が 15%前後と少ない傾向があるが[文献 6 ]、経年的にみると、11.9%から 17.1%へと徐々に上昇し、Watch の占める割合は 79.0%から 73.3%へと低下してきている。
また、ワンヘルスの観点から経口と注射用抗菌薬の使用量を力価換算して重量ベースでの使用状況を調査したところ(表 72)、全体の使用量は変動していなかった。DID で標準化した数値と乖離が起きた主な原因の1つには、高齢者の誤嚥性肺炎等に使用するスルバクタム・アンピシリンといった 1 日使用量の力価が高い注射薬の使用頻度の増加が影響しているものと考える。
高齢者の増加などにより、本邦における非経口抗菌薬使用量の削減は困難な状況はあるものの、AMR 対策アクションプランの効果が経口抗菌薬の適正使用に影響していることが推察された。今後も継続した使用状況の把握が必要である。