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抗菌薬も含めて、医薬品や日用品等の医薬品類は、Pharmaceuticals and Personal Care Products(PPCPs)とも呼ばれ、低濃度であっても生理活性作用を持つことがあるため、水生生態系への影響が懸念されている[文献 10 ]。抗菌薬については医薬品類の一つとして、下水や下水処理水、再生水、環境水、汚泥という環境中での抗菌薬濃度の測定結果がいくつかの研究で示されている[文献 11 ]。
下水処理の結果生じた下水汚泥(バイオマス)の一部は、嫌気性消化やコンポスト化を経て農業肥料として再利用される場合があるが、PPCPs が下水処理過程や下水汚泥の消化過程で分解される度合いは PPCPs によって異なる。例えば、抗菌薬の中では、サルファ剤はそのほとんどが分解されるが、オフロキサシンやノルフロキサシンといったフルオロキノロン類は、分解されず高濃度に汚泥中に残留する[文献 12 ]。PPCPs の生分解過程は水温による影響を受け、また下水処理過程における水理的滞留時間、活性汚泥の処理濃度、滞留時間などの処理条件によって、PPCPs の除去性が影響を受ける。さらに除去を進めるため、膜分離活性汚泥法を用いて抗菌剤の除去性を改善する研究が行われている[文献 10 ]。また下水処理後にオゾンや促進酸化処理を導入することで抗菌薬除去の効率性を高める研究も国内外で数多く行われていることから[文献 11 ]、日本での排出実態と開発状況について把握する必要がある。
日本の都市部の河川で検出される抗菌薬濃度を下水処理場の流入下水で調べた研究では、シプロフロキサシンとクラリスロマイシンの実測濃度とこれらの抗菌薬の出荷量や販売量から予測される濃度にはある程度近似性がみられ、薬剤の出荷量や販売量によって抗菌薬の下水濃度を予測できるかもしれないことが指摘されている[文献 13 ]。この研究の中では、例えばシプロフロキサシンが下水に 51 から 442ng/L、クラリスロマイシンが 886 から 1,866ng/L 含まれていたことが示されている。ただし、これらの環境中の抗菌薬がヒト等の健康に影響を与えていることを示す研究結果は報告されていない。

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